僕らが紡ぐ、不可思議な話。

 ──その記憶は兄、星野光との体験でしょ? 一緒に山に行ったのも、文化祭を一緒に回ったのも、全部お兄ちゃんとのこと。勘違いしないでよね。
 ……そうだったっけ? いや、そうだ。
 一気に、掴みそうだった記憶の欠片が粉々に砕けた。
(こんなかっこいい人と、僕が知り合いな訳無いよね。何言ってんだろ、僕)
「ご、ごめんなさいっ」
 慌てて彼の前からどくと、彼は無言で降りて行った。
 その後ろ姿に、何故か胸がきゅっとなって、唇を噛む。
(もう、普通に帰ろう……)
「──あのさ」
 湊も彼の背中を追いかけようとすると、急に声をかけられた。驚いて、びくっと肩が跳ねる。
「お前、名前は?」
「え? ……ほしのみなと、です」
「星野……アイツの弟か。どーりで。声似てると思ったわ、顔は似てないのな」
「は、はい」
 声が似てるなんてのも、初めて言われた。みんないつも、容姿に目がいくから。