僕らが紡ぐ、不可思議な話。

(確か、僕はここで、あの人と──)
 曲がり角へ差し掛かると。
 ──ドンッ
 人と、ぶつかった。
「ご、ごめんなさい」
 謝る声が掠れる。だって、ここで同じ体験をしたことがあると思ったから。
「……」
 黒い髪、紫に光る瞳、とても整った顔。──小鳥遊伊吹。
『俺は伊吹。小鳥遊伊吹だ、覚えとけ』
(僕、この人と、会ったことある……?)
 それも、会ったどころじゃない。沢山話したし、沢山助けてもらったし、沢山笑いあった。
(この人と、知り合いだった……?)
 ──違うよ。何言ってるの、こんな人と知り合いじゃないでしょ?
(ッ)
 心の中に、語りかけてくる、中性的な声。