僕らが紡ぐ、不可思議な話。

(本当になんなんだろう、この感覚……)
 特に、胸の奥深くにいる、“誰か”のことを探すたびに、それを諦めるたびに、とてつもない喪失感に襲われ、胸に穴が空いたんじゃないかと思ってしまう。その“誰か”の、名前も、顔すら分からないのに。
 ぐっと胸の辺りを握りしめ、深呼吸してからまた歩き出す。すると、階段へ差し掛かった。
(あ、──来る)
 記憶の奥底から、「探せ」との声。
 その、探している“誰か”と関わりが深いところを視界に入れてしまうと、ぶわっと湧き上がってくるその声。
 この階段を見る度に、その声が聞こえてくるので、いつも無視をしていた。だって、兄のいる前だし。
(でも、……兄の居ない、今日なら)
 恐る恐る階段に近づき、一歩登ってみる。すると、何だか懐かしさが湧き上がってきた。
 そうだ。ここで、自分はあの人と会った。……誰と?
 ぐるぐる回っている時に、その、誰かと。でも、おかしい。この学校は三階建てだから、そんなにぐるぐる上れない。
(ここじゃ、ないのか……? 似ているところだった、とか?)
 でも、しっかりと踏み閉めて上っていくうちに、ここだと本能が叫んでいる。