僕らが紡ぐ、不可思議な話。

「でさでさーっ、今日も小鳥遊くんがかっこよくて〜!」
「もぉー、ほんとえりちゃんってば小鳥遊くんが好きだよね」
「だって、あんなの誰だって好きになるじゃん!?」
「決めつけよくなーい。私はこの学校の二大イケメン、小鳥遊くんと光くんどっちか選べって言われたら光くん派かなあ。優しいし」
「なっ、戦うか?」
「遠慮しときまーす」
 兄の名前が聞こえてきて、廊下の先を見ると、ひとりの先輩と目が合ってしまった。
 黒髪ロング、大きい茶色の瞳。いかにも陽キャ女子、という感じだ。
 接点はないはずなのに、何故か「どこかで話したっけ」という衝動に駆られる。けれど、あまり見つめすぎるとおかしく思われるので、顔を逸らした。
(……勘違いだ。だって、部活の先輩以外仲良い人居ないし)
 そう言い聞かせると、また、喪失感に襲われた。
 まるで記憶が塗り替えるように、上から、ぐちゃぐちゃに塗りつぶされたような感覚。