僕らが紡ぐ、不可思議な話。

(お兄ちゃんがいるからか。確かに前から高橋くん、僕のこと名前呼びだったような……何で違和感を持ったんだろ)
 胸にもやっとしたような霧がかかる。違和感が無くなった、よりは違和感が無理やり上から黒く塗りつぶされるような感覚が気持ち悪く、湊は顔を歪めた。
「……そうだったよね、ごめん。僕、今日違う世界線の夢を見たみたいでさ、ちょっと変なこと言うかも」
「何それ。そんなリアルだったん?」
「うん、凄く。でも、どんな世界線だったのかは、全然思い出せなくて……」
「ほんまに何それ。おもろ」
「面白いよね」と相槌を打つ。でも、本当に面白いとは思えなくて、笑いきれず口が引きつった。

 授業が終わり、帰る支度をしていると、「みーなと」と声をかけられた。
「あ、いぶ──」
 なんか、声が違う。パッとドアの方を見ると、伊吹ではなく兄の姿だった。
「お兄ちゃん」と言い直すと、「帰ろ」と言われた。
「う、うん。でも、伊吹は……」
 伊吹がまだ来てない。待とう、と提案すると、首を傾げられた。