僕らが紡ぐ、不可思議な話。

 つねったところを触られる。兄の手は意外にも温かく、ちゃんと人の血が回っていた。
 リアルだ。あまりにも、気持ち悪いぐらいリアルすぎる。
(お兄ちゃんは死んだはずなのに……。あれ、でも、いつ死んだんだっけ)
 どうやって? 何をしていて? 何年前?
 そもそも、兄は死んでいたのだろうか。生きている本人は今、目の前にいるのに?
(なんか僕、混乱してる?)
 それとも、逆にこっちが現実で、兄が死んだ世界が、夢だったり……とか。
 そうなれば、全て納得できる。あれ、でも、その兄が死んだ世界線の夢って、どんな生活をしていたっけ?
 記憶の奥底に手を突っ込もうとしても、あやふやですぐ手の隙間からこぼれ落ちてしまう。
「湊? 早く起きないと学校遅刻するよ?」
「……うん。そうだね、ごめん。ちょっとぼーっとしてた」
「ふふっ、湊って意外と朝に弱いよね」