僕らが紡ぐ、不可思議な話。

 この人が階段に居る今なら二階へ着くのではとはと踏んだ湊は、彼を通り抜け駆け上がる。
「あっ……おい!」
 けれど、すぐにその希望は崩れ落ちた。
 見えてきた景色は二階ではなく、一階だったのだ。
(あれ、なら、今彼がいる階段はどうなって……)
 後ろを振り返った湊は、ひっと声を漏らした。
 彼の後ろが、暗闇だ。続くはずの階段は闇に飲まれていて、そこだけ世界から切り取られたみたいな、暗い暗い、闇。
 湊の様子に眉を顰めた彼は、階段を上り「あー……」と声を漏らした。彼もこの階段の無限ループに気づいたのだろう。
「なるほどな」
(なんのなるほど……?)
 混乱しない彼に違和感を持つと、彼は窓枠へ手をかけた。
 そして、ぐぐぐっと力を込める。
「なっ、壊れますよ! 何考えてるんですか!?」
「うっさい黙れ」
 そう言われ、湊は言葉を飲み込む。