僕らが紡ぐ、不可思議な話。

 最近、こんな噂がある。
 この学校の鏡に気に入られてしまうと、鏡の中に引きずられてしまう──なんて、噂が。

 *

「俺、もうこの学校の鏡絶対見ない!」
 とある日の昼休み。高橋が、唐揚げを食べながらそう宣言した。
 文化祭からもう約一ヶ月。十一月後半になって、もうすっかり季節は冬だ。
 文化祭の件から、高橋は前と同じように、ていうかそれ以上に湊に絡んでくる。何も、伊吹に許してもらったのは、湊の計らいのおかげ、なんて思ってるらしく……。いつも通り湊の教室に来る伊吹にも、まだギクシャクしてるけど、あからさまに怖がるのはやめていた。
 まあ、教室でボッチになるのは避けられそうなので、結構嬉しい。
「鏡見ないって……トイレどうするの?」
「トイレは行かん! だから水飲まん!」
「えぇ、まあ、頑張って……?」
「おう! 頑張る!」
 そんな会話をしていると、ガラッと教室のドアを開ける音がした。