僕らが紡ぐ、不可思議な話。

「はあっ、はあ」
 息切れしてきた。もう階段を上るのは諦めるべきか。ふらふらとした足取りで最後の一回と決め階段を上っていると。
 ドンッ
「うわっ」
 曲がるところで、人とぶつかった。……人?
「高橋くん!」
 やっと見つけたと顔を上げると、
「は?」
 凄い美貌の持ち主が、湊を見下していた。
(高橋くんじゃ、ない)
 パチパチと目を瞬く。暗闇のような黒い髪。引き込まれそうな紫の瞳。すっとした鼻筋、薄い唇。何もかも整った、欠点が見当たらない綺麗な顔。
 同性の自分でも、思わず見惚れてしまった。相手も、動揺したように目を見開く。何だろう、自分には彼みたいにハッとするような美貌は持ってないが。
 なんて、ぼーっと考えてから、我に返った。
 彼は二階から下りて来たのか。この階段の無限ループに巻き込まれているならこんな落ち着いてはいないはずだし、──今なら。