僕らが紡ぐ、不可思議な話。

「……っ、ごめん、追いかけられてるんだ。君は逃げて」
 ……嫌だ。またひとりにしないで。ふるふると首を横に振ると、 彼は困ったような顔をした。
 困らせてる。そうだ、自分が、もっと真剣に訓練を受けていれば。もっと強くあれば──。
 何か、運命は変わっていたのだろうか。
「──伊吹!? どこーっ!」
「っ!」
 お兄ちゃんの声だ。伊吹はずっと抱きしめてくれてる彼の胸の中から飛び出し、一目散に声のする方へ飛び込んだ。
 飛び込んだ瞬間、光が眩しくて顔を顰める。けれど、助かったのだと思った。
 その最中、ふと後ろを振り返る。そして、ひゅっと息を呑んだ。
 彼が、見えないけれど、何か大きいモノに引きずられている。戦うすべも何も持っていないようで、伊吹を庇った時についた傷を腕で覆いながら必死に抵抗していた。
 勝ち目がない。あと少しで彼は負け、死ぬという運命が定まっているように感じた。