僕らが紡ぐ、不可思議な話。

 八年前。
 伊吹は、最初から強かった訳ではない。
 寧ろ、怪異を祓うのを躊躇っていた側だった。
 次期当主予定の兄は、どんどん力を取り入れ先へ行く。そんな兄に憧れながらも、伊吹は祓い屋になんかなりたくなかった。
 怪異は友達。みんな優しい子。そんなことを思っていた当時七歳の伊吹に、決定的な出来事が起きた。
 伊吹が、怪異に攫われたのだ。まだ子供、そしてまだ力を全くつけてなかった伊吹は、違う世界へ飛ばされ、一人彷徨っていた。
 その時だった。
「君、大丈夫!?」
 怖かった暗闇に、伊吹の絶望した心に、一筋の光が差し込んだ。
「お兄ちゃん、誰……?」
 茶色の髪、茶色の瞳。少し幼い顔立ちをした中学生ぐらいの男の子。
「えっと──」
 彼が何かに反応する。ガバッと抱きしめられたと思ったら、彼の服が破れ、腕にナイフで切りつけた跡みたいなものができた。
 もしも、彼が守ってくれなければ。伊吹に真っ直ぐ当たり、出血大量で即死していただろう。幼心ながらそれを理解し、身体が冷たくなった。