僕らが紡ぐ、不可思議な話。

 ──星野。
(こっち?)
 ──星野。
(上の方……?)
 進んでいくと、階段に辿り着いた。どうやら上の階から聞こえてくるらしい。
 湊は、ごくっと唾を飲み込むと階段を一気に駆け上がる。
 ──星野。
(まだ上から聞こえる。三階から? ……って、あれ)
 湊は息を呑む。階段を駆け上がったはずなのに、……着いたのは一階だった。
(えっ!?)
 バッと後ろを見ると、今駆け上がってきたはずの階段はなく、二階へと続く階段だけ存在していた。
「は……?」
 慌ててその階段をまた駆け上る。けれど、着いたのはやはり一階だった。
 嫌な予感が頭を侵食していく。
 いくら下っても一階につかない階段。そんな怪異を湊は聞いたことがある。
 まさか、これはその逆だと言うのか。
 ──星野。
 高橋の声はすぐ近くにあるのに。なのに、届かない。
 湊は、また階段を駆け上がる。一階に着いても、何度も、何度も。