僕らが紡ぐ、不可思議な話。

 さっきから挙動不審な高橋に、嫌な予感がひやりと湊の心を撫でる。
「この呪いっ、異性を近づかせないっていう効果だけじゃないんだよ!」
「──え?」
「俺、アイツが消えればいいのにってっ、そういう呪い、かけちゃった……!」
 一瞬、頭が真っ白になった。
 何を言われたのか分からず、はくはくと空気を求める金魚みたいに口を開け閉めする。
 伊吹が、消える?
 ぶるるっと、胸の奥底から何かが、言葉に表せない何かが湧き出てくる。これは、恐怖だろうか。
 伊吹が消えますように。高橋は、本気じゃなかったとしてもそう願った。
 現世から消える。それはつまり、──死?
「ッ」
 どうするか考える前に、駆け出していた。