「夏井、今日の放課後暇?」
昼休み。
しゃがんでロッカーを漁っていた私の背中に、やわらかい声が落ちた。
振り返ると、晴海。
後ろ首に手をやって、どこか落ち着かない様子で、視線は窓の外。
真夏の光が、彼の横顔を白く縁どっている。
……え?
今、私に話しかけたよね?
「夏井?」
「えっ、あぁ、うん?」
よく分からない返答をしてしまった。
…だって、なんでそんなによそよそしいの、というか、夏井って呼んだはずなのに、あっちを見てるから…。
「……放課後は空いてるけど……どうしたの?」
できるだけ平静を装って言うと、晴海は「あー」と小さく息をこぼして、ほんの少しだけ眉を寄せた。
迷っている顔。
そのまま、私の隣にしゃがみ込む。
「……。」
…え。
ちょっと待って。
ロッカーの扉と、晴海の肩と、私。
急に距離がなくなって、空気が足りない。


