バタフライ エフェクト

「梨々愛!!」
と、私は元寄に体当たりして離そうとするけれど、全然効果がない。



「このキレイな髪の毛は俺のためだろう? 香菜子の髪はいつも俺に触られたがってるもんな?」

「香菜子じゃないって!! 離せ、変態っ!!」



元寄が手にしているのは、はさみだった。

梨々愛の髪を切るつもりだと、ハッキリわかった。



「梨々愛を離せ!!」
と、知穂が元寄を蹴る。



私も知穂に加勢して、めいっぱい元寄を蹴った。

思えば、人生で初めてかもしれない。

相手が幽霊とはいえ、人を蹴る、という行動を起こしたのは。



げしげしと知穂と蹴っていたら、元寄の幽霊が梨々愛を離した。

芹香が梨々愛を引っ張って、元寄から離す。



「香菜子ぉ、俺の香菜子ぉっ」
と、元寄は悔しいのか、残念そうにうめいている。



その時、知穂がキョロキョロとして、
「あっ!」
と、声をあげた。



「見て! 空に穴が出てる!!」



見上げると、暗い空間の天井にはぽっかり穴が開いている。

背丈よりほんの少し高い位置にあって、穴の向こうは“ちょうちょ館”のランドリールームの景色が見える。