『……一席（いっせき）、お付き合いを願いまして……、《顔隠（かおかく）しの林》というお話なんですが……』 私、時田　史花（ときた　ふみか）が通う林原之（はやしばらの）中学校の昼休みの放送で流れたのは、気味の悪い落語だった。 姿を消した人。 顔がない死体。 感じる違和感……。 『……おいらの奥さん、ずっとお面をつけてやがんだ。奥さんだけじゃねぇよ、子ども達も。それに、おいらにもお面をつけさせるんだ。まるで、顔を隠していなくちゃならねぇみたいに』 創作落語の《顔隠しの林》には、どんな意味があるんだろう？ 一体誰が作った落語？ 姿を消した人は、どこへ行ったんだろう？ そして、私と同じ教室にいるあのクラスメイトは一体……。 決して【アレ】に見つからないで。 顔を隠して。 あの林に行こう。 あの、《顔隠しの林》に…………。

【ジャンル】 恋愛 【キーワード】 クール女子、夢中、初めて、偽カレカノ 〈選んで書いて！　野いちごミックスSSコンテストへの応募作品です〉 「冷たい」と周りに言われて友達がいない私、新堂　玲奈（しんどう　れいな）。 「ごめん、助けて」 そう言ってきたのは、校内でも有名な「完璧な王子様」、谷原　周（たにはら　あまね）先輩。 えっ？ 偽カレカノ？ 私と先輩が？ 初めての放課後の制服デート。 ドキドキする言葉。 優しい先輩。 もっと近づきたくて。 （あぁ、私、なんでこの人の偽彼女なんだろう？） 好きになっちゃ、ダメ。 ドキドキしないで。 （本物の恋人同士になりたい） 強く願ったら叶うとか……、ないかな？ 初めての恋。 指先に恋心を秘めて、あなたのそばにいた。

【ジャンル】 恋愛 【キーワード】 初めて　夢中　手紙　約束 〈選んで書いて！　野いちごミックスSSコンテストへの応募作品です〉 私、梶山（かじやま）　さちほ。 定時制高校に通っている十七歳。 短歌作りを始めたけれど、作った歌を書き記したメモ帳を、学校の机の中に忘れて帰ってしまった。 翌日、メモ帳と共に手紙が入っていて……。 始まったのは手紙交換。 相手について知っていることは少ない。 三ツ橋　隼人（みつはし　はやと）くん。 あなたのことが気になっています。 だけど手紙交換が途切れてしまった。 あれ？ 私、ウザかった？ お願い、神様。 今度机に手紙が入っていたら、この気持ちを伝えるから。 勇気を出すから。 もう一度だけチャンスをください。

月刊少女漫画雑誌『デイジー』に漫画投稿を続けている私、塚原　千冬（つかはら　ちふゆ）は、漫画家になりたい。 それも中学生のうちに、デビューを叶えなくちゃ。 大丈夫。 私ならできる。 デビューを掴み取れる。 そんな時。 交通事故に遭ってしまって……！？ クラスメイトの大谷　真昼（おおたに　まひる）に正体がバレてしまい、明石　秀人（あかし　しゅうと）には漫画を酷評されるし……。 夢を叶えるのって、前途多難？ 私は。 それでも。 戦いたかった。 B 4サイズの原稿用紙に。 向き合いたくて。 仕方がなかった。 ーーー漫画は、魔法。 夢と魔法がつまったページをめくって。 私は今日も、キラキラした世界に旅立っていくーーー

素直に気持ちを伝えることが、怖い。 そんな私が出会ったのは。 他校の二学年上の、かっこいい先輩。 優しく頼れる先輩 × 引っ込み思案な地味子 勇気を出した時。 決心した時。 いつだって優しく私の頬を撫でるのは。 かすかな甘い香りの恋の風。 気持ちを伝えることは、怖いことばかりじゃない。 尊いことなんだよ。 恋風をまとって。 がんばれ、私……！