Good day ! 6

それからしばらくして、舞と大翔の二度目のフライトがやってきた。

今回はシンガポール往復で、現地ステイを挟む。

前日にマンションの部屋でステイバッグを準備しながら、舞はふと手を止めた。

(日本人のキャプテンなら、ステイ先で食事に誘われることが多いけど、相澤キャプテンは違うかな?)

そう思いつつ、念の為にサラリと着られるワンピースを一着持って行くことにした。

翌日。

早めにShow Upしてフライト情報を確認してから、時間になってやって来た大翔に挨拶する。

「相澤キャプテン、おはようございます。本日よりシンガポール便ご一緒させていただく佐倉です。どうぞよろしくお願いいたします」
「こちらこそ、よろしく」

二人並んでモニターに向かい、ブリーフィングを終えると、フライトバッグを手にオフィスを出た。

「今日は珍しく3タミですね」
「ん? ああ。3タミって言うのか」
「あ、すみません。第3ターミナルです」
「いや。そういうのも慣れていきたいから、教えてほしい。それにしても懐かしいな。俺にとってはこのターミナルの方が馴染みが深いんだ。アメリカにいた時、羽田とくればここだったから」

その時、ふいに後ろから「Hiro!」と聞こえてきて、大翔と舞は振り返る。

パイロットの制服姿の大柄な外国人男性が、笑顔で近づいてきた。

「Owen!」

大翔は嬉しそうに破願して、男性とがっしり抱き合う。

その様子を、舞は隣で見守った。

(こんなに嬉しそうな相澤キャプテン、初めて)

目を細めて明るい表情を浮かべる大翔に、舞も頬を緩める。

「Wow, We finally meet! I’ve missed you, Hiro」
「Me too, Owen. Long time no see. Good to see you again here in Japan」

そして大翔は舞を紹介する。

「This is Mai. She is a pilot as well」
「My what ? Wife?」

大翔は慌てて否定した。

「No way! Her name is Mai. Mike-Alfa-India」
「Oh, I see」

ようやく納得した様子の男性を、大翔が舞に紹介する。

「彼はオーウェンといって、アメリカのエアラインで一緒だったキャプテンなんだ」
「そうなのですね」

するとオーウェンは、にっこり笑って舞に右手を差し出した。

「ハジメマシテ、Owenデス」
「初めまして、舞です。Nice to meet you」

オーウェンは両手でギュッと舞の手を握ってから、大翔に尋ねる。

「She is just my type. Is it okay if I hit on her?(彼女、俺のタイプなんだ。口説いてもいい?)」

大翔は、やれやれとばかりにため息をついた。

「I’m pretty sure she understands your English.(彼女、お前の英語分かってると思うぞ)」
「Oh, that makes things easier. (それなら話は早い)」
「No! We should get going.(やめろって。俺達もう行かないと)」

大翔は話を切り上げると、舞を促して歩き出す。

「Hiro, hit me up!(ヒロ、連絡くれよ)」

後ろから声をかけるオーウェンに、大翔は「OK」と片手を挙げた。