婚約破棄されましたが、こちらから破棄します!〜第二王子と手を組んで復讐しますわ〜

昼下がりの王都は、陽光に満ちている。

 だが、クラリッサの胸に灯る闇は晴れることなく、彼女は学園の中庭を独り歩いていた。



「第二王子の裏切り、果たして本当なのか?」

 何度もその言葉を頭の中で反芻し、真実を見極めようとしていた。



 その時、不意に肩に触れる柔らかな手。

 振り返ると、そこにはレオニスが立っていた。



「何を考えているんだ?」



「……あなたも信じられないのに?」



「俺は……クラリッサ様の味方だ」

 レオニスの瞳は真剣で、揺るがなかった。



「でも、密告書のことは……」



「あれが本物か偽物か、俺が確かめてみる」



 クラリッサはその言葉にわずかに救われる思いがした。



「ありがとう。あなたにかけるしかないのね」



 その夜。



 クラリッサは自室で、手帳にびっしりと書き込んでいた。

 今までの事件、人物関係、噂、そして自分が掴んだ秘密をまとめていく。



「誰も信じられないなら……自分の手で証拠を掴むしかない」



 彼女の決意は、冷たく硬かった。



 一方、学園の隅で密かに監視を続ける人物がいた。

 黒いマントをまとった影は、携帯魔法鏡を覗き込みながら呟く。



「クラリッサ・ローレンス……面白い。その策謀、なかなか骨がある。だが、次は私の番だ」



 翌日。



 クラリッサはレオニスと共に、第二王子の動きを調査するために王都の中心部へ向かった。

 華やかな宮廷の中に潜む、冷徹な駆け引きが待っている。



 王子の側近たちが集う秘密の談合室。

 クラリッサはそこで、第二王子が密かにある計画を進めていることを知る。



「これが真実なら……私は、何を信じればいいのか」



 深まる謎と、迫り来る危機。

 クラリッサの心は、復讐の炎と共に揺れ動く。



「私は、必ず真実を暴く」