Naked Love〜涙の跡を舌で辿る時〜

ちゅ、ちゅ、ちゅ、

と、何度も甘くて柔らかな唇が私の顔に落ちてくる。

最後に涙をキスで辿られて、目眩がしてきた。


「何度も泣かせてごめんね」

「もう、謝るのはなし、ね?」

それでも、不安そうな彼は、私の体をぎゅーっと抱き締めて、そのまま、耳で甘く、

「好きだよ、これからは一番傍に居たい」


と囁いてくれる。

あんなに恋しいと思って、
あんなに思い募らせ、
あんなに悲しみに暮れた筈の気持ちは、


こんなにも愛しいと想うこの温もりで一瞬にして過去となった。

「私で…いいの?」

「希子ちゃんがいい。希子ちゃんしかいらないんだ、ずっとずっと、俺の人生には…」


ぱちん

そんな音を立てて、胸の中で彷徨っていたパズルのピースがしっかりと当て嵌まっていった。


「希子ちゃん、こんな俺だけど…」

「ストップ。それは……」

私は、彼の唇に人差し指を当てる。
そして、その指に自分の想いを乗せるようにして、踵を少しだけ浮かせ小さくキスをして、微笑んだ。


「私を、悠久くんの、お嫁さんに…してくれませんか?」

私の全てを掛けた、愛のコトバ。

そんな私に、一瞬だけ驚いてから…泣き笑いみたいな表情で、

「此方こそ…希子ちゃんだけの、唯一の存在で居させて下さい」

と、言ってくれた。


「……私達、遠回りし過ぎたね」

「でも、今こうして希子ちゃんを抱き締められているから、俺は幸せだよ」

「ん…それは、私も同じだよ?」


じわり。


また、溢れてきそうな涙を自分で拭おうとしたら、それはキスというよりも…沸騰しまいそうなくらい熱い彼の舌でなぞられて、小さく「愛してる」と告げられた。

「バカ」

「希子ちゃんは、どこも柔らかくて温かいね」


抱き締められた、その方の向こう側。

鮮やかなイルミネーションが、彼の想いの全てを表しているようで、私は彼の逞しい胸元にこつんと、額を付けて…。


「愛してる」


とだけ、呟く。

それは小さな音だった筈なのに、しっかりと彼には届いていた様で、また頭の先にキスをされ、


「俺の方が、だけどね」


なんて、満面の笑みで、抱き締める腕に力を込められた。



ねぇ、こんな風な物語の終わりがあるのなら。
今迄の寂しさや悲しかった過去も、まるで生まれたままの"アイ"に繋がった日々だったんだね。


貴方に口付けされた場所が全て熱くなっていく。
それは、甘い火傷になりそうな、緩い感覚で。

私と貴方で織り成す世界。

それだけが、二人だけの幸せな世界…。


fin.