「謝る前に、次どう防ぐか考えてよ。」
「はい。」
「分からないことあるなら聞いて。」
「はい・・・。」
会話が続かない。
「もういい。」
思わずそんな言葉が和那の口をついた。その口調に鋭いものを感じて、湊はハッと顔を上げた。その表情をいきなりまっすぐ見る形になって、思わず視線を逸らした和那は
「とりあえず、業務に戻って。」
「わかりました、失礼します。」
次に突き放すように言っていた。彼が立ち上がる、ドアへ向かう背中。
「ねぇ。」
和那は、気づけば、その後ろ姿に呼び掛けていた。
「はい?」
振り返った湊の顔を、和那は見た。
「私に、何か言うことない?」
その上司の言葉に、一瞬戸惑った表情を浮かべた湊は
「この度は申し訳ありませんでした。」
そう言って、また頭を下げた。
「そうじゃなくてさ。」
イラッとした口調の言葉が被せられた。
「・・・?」
本当に分かっていない顔、その反応が、決定的だった。和那は数秒黙ってから、小さく息を吐いた。
「・・・わかった、本当にもういいよ。」
「失礼します。」
今度こそ、彼は部屋を出ていった。
ドアが閉まる、静寂。和那は椅子にもたれ、ゆっくり目を閉じた。
「相変わらず、なんにも気づかないんだ、ね・・・。」
ポツリと零れた声は、誰にも届かなかった。でもそれは思えば当たり前のことだ。椅子にもたれ、目を閉じる。脳裏に浮かぶのは、今の彼ではなくて。光の下に立っていた、あの頃の彼の姿。音に包まれて、まっすぐ前を見ていたその横顔。
でもあの頃だって、そうだった。彼の世界に、私はいなかった。そう私がほぼ一方的に見ていただけだったんだから・・・。
「はい。」
「分からないことあるなら聞いて。」
「はい・・・。」
会話が続かない。
「もういい。」
思わずそんな言葉が和那の口をついた。その口調に鋭いものを感じて、湊はハッと顔を上げた。その表情をいきなりまっすぐ見る形になって、思わず視線を逸らした和那は
「とりあえず、業務に戻って。」
「わかりました、失礼します。」
次に突き放すように言っていた。彼が立ち上がる、ドアへ向かう背中。
「ねぇ。」
和那は、気づけば、その後ろ姿に呼び掛けていた。
「はい?」
振り返った湊の顔を、和那は見た。
「私に、何か言うことない?」
その上司の言葉に、一瞬戸惑った表情を浮かべた湊は
「この度は申し訳ありませんでした。」
そう言って、また頭を下げた。
「そうじゃなくてさ。」
イラッとした口調の言葉が被せられた。
「・・・?」
本当に分かっていない顔、その反応が、決定的だった。和那は数秒黙ってから、小さく息を吐いた。
「・・・わかった、本当にもういいよ。」
「失礼します。」
今度こそ、彼は部屋を出ていった。
ドアが閉まる、静寂。和那は椅子にもたれ、ゆっくり目を閉じた。
「相変わらず、なんにも気づかないんだ、ね・・・。」
ポツリと零れた声は、誰にも届かなかった。でもそれは思えば当たり前のことだ。椅子にもたれ、目を閉じる。脳裏に浮かぶのは、今の彼ではなくて。光の下に立っていた、あの頃の彼の姿。音に包まれて、まっすぐ前を見ていたその横顔。
でもあの頃だって、そうだった。彼の世界に、私はいなかった。そう私がほぼ一方的に見ていただけだったんだから・・・。



