湊は変わった、明らかに変わった。
「ここ。」
その日のミーティング。彼が、資料を見ながら口を開く。
「この転換、たぶん現場で詰まります。」
会議室が、一瞬静かになった。
「理由は?」
和那が聞き返す。そんな彼女の顔を真っすぐに見た湊は
「機材入れ替えと映像切り替えが重なるので。」
資料の一角を指差す。
「このタイミングでSE流しても、音被っちゃうだけだと思います。」
効果音と言わずにSE(サウンドエフェクト)とサラリと言った。音楽の現場にいる人間みたいに。
「詳しいな。」
思わずスタッフの一人が言葉を漏らした。無気力で何ごとにも消極的だったお荷物社員が、突然変貌しただけでなく、専門的なことを言い出したことに驚きを隠せないような声だった。
その声に
「昔、少し・・・。」
湊は急にいつものように伏目がちになって、ポツンとそれだけ答えた。
でも、和那には分かっている。少し、どころの騒ぎじゃない。機材転換の間、音響の被り、客の集中が切れるタイミング・・・そんなものは、実際に何度もステージに立った人間にしか、感覚では分からない。
「じゃあ、どうしたほうがいいと思う?」
もう、絶対に逃さないと言わんばかりに、和那は続きを尋ねる。
「ここ。」
その日のミーティング。彼が、資料を見ながら口を開く。
「この転換、たぶん現場で詰まります。」
会議室が、一瞬静かになった。
「理由は?」
和那が聞き返す。そんな彼女の顔を真っすぐに見た湊は
「機材入れ替えと映像切り替えが重なるので。」
資料の一角を指差す。
「このタイミングでSE流しても、音被っちゃうだけだと思います。」
効果音と言わずにSE(サウンドエフェクト)とサラリと言った。音楽の現場にいる人間みたいに。
「詳しいな。」
思わずスタッフの一人が言葉を漏らした。無気力で何ごとにも消極的だったお荷物社員が、突然変貌しただけでなく、専門的なことを言い出したことに驚きを隠せないような声だった。
その声に
「昔、少し・・・。」
湊は急にいつものように伏目がちになって、ポツンとそれだけ答えた。
でも、和那には分かっている。少し、どころの騒ぎじゃない。機材転換の間、音響の被り、客の集中が切れるタイミング・・・そんなものは、実際に何度もステージに立った人間にしか、感覚では分からない。
「じゃあ、どうしたほうがいいと思う?」
もう、絶対に逃さないと言わんばかりに、和那は続きを尋ねる。



