「着いたよ。」
助手席の和那の声が、車内に響く。この日、彼女は3人のスタッフと共に、フェス会場の下見に訪れていた。
夏前の野外会場。ステージ設営途中の広場、スピーカー、鉄骨、配線、そして慌ただしく動き回る設営スタッフたち・・・そんな景色が目に入って来た瞬間
「懐かしい・・・。」
和那は思わず、声を上げていた。
「和那さん、ホントに今日を楽しみにしてましたものね。」
「当たり前だよ。7年間、特に大学の4年間は、本当にバンド活動、ライブに人生掛けてたんだから。」
「青春してたんですね、南澤さん。」
「当然。さぁ、行くよ。」
オフィスでは絶対に見せないような、はしゃいだ表情で歩き出した和那を、微笑ましそうに見ながら、後に続くスタッフたちから更に遅れて、浮かない表情を隠そうともせず、湊が続く。
今日の同行を和那から指示された時
「えっ?なんで俺が・・・。」
珍しく湊は、不満を表に出した。
「音楽は苦手だったって、言いましたよね。」
「縁があんまりなかったとも言ってたよね?」
「はい。」
「あのさ。」
「はい。」
「そのキャラクター設定、もうさすがに無理があるって、自分でも思わない?」
そう言って、いたずらっぽく笑った和那の顔を、凝然と見る湊。
「音楽が苦手の人がさ、わざわざ音楽を聴くために、ネット徘徊する?」
「・・・。」
「ヒット曲でもないあの歌を、口ずさめるようになるまで聴き込んで。ミ-ティングで素人相手に、フェス、ライブのなんたるかについて、滔々と語れる人がさ。音楽が苦手とか、縁遠いとか。」
「南澤さん・・・。」
困惑の表情を浮かべた湊に
「ということで、当日はよろしく。あっ、あと、あのバンドの名前は絶対に思い出してもらうからね。どうしてもあの曲、フルで聞いてみたいから。」
にこやかな表情のまま、そう続けた和那は、立ち尽くす湊を置いて歩き出して行った。
助手席の和那の声が、車内に響く。この日、彼女は3人のスタッフと共に、フェス会場の下見に訪れていた。
夏前の野外会場。ステージ設営途中の広場、スピーカー、鉄骨、配線、そして慌ただしく動き回る設営スタッフたち・・・そんな景色が目に入って来た瞬間
「懐かしい・・・。」
和那は思わず、声を上げていた。
「和那さん、ホントに今日を楽しみにしてましたものね。」
「当たり前だよ。7年間、特に大学の4年間は、本当にバンド活動、ライブに人生掛けてたんだから。」
「青春してたんですね、南澤さん。」
「当然。さぁ、行くよ。」
オフィスでは絶対に見せないような、はしゃいだ表情で歩き出した和那を、微笑ましそうに見ながら、後に続くスタッフたちから更に遅れて、浮かない表情を隠そうともせず、湊が続く。
今日の同行を和那から指示された時
「えっ?なんで俺が・・・。」
珍しく湊は、不満を表に出した。
「音楽は苦手だったって、言いましたよね。」
「縁があんまりなかったとも言ってたよね?」
「はい。」
「あのさ。」
「はい。」
「そのキャラクター設定、もうさすがに無理があるって、自分でも思わない?」
そう言って、いたずらっぽく笑った和那の顔を、凝然と見る湊。
「音楽が苦手の人がさ、わざわざ音楽を聴くために、ネット徘徊する?」
「・・・。」
「ヒット曲でもないあの歌を、口ずさめるようになるまで聴き込んで。ミ-ティングで素人相手に、フェス、ライブのなんたるかについて、滔々と語れる人がさ。音楽が苦手とか、縁遠いとか。」
「南澤さん・・・。」
困惑の表情を浮かべた湊に
「ということで、当日はよろしく。あっ、あと、あのバンドの名前は絶対に思い出してもらうからね。どうしてもあの曲、フルで聞いてみたいから。」
にこやかな表情のまま、そう続けた和那は、立ち尽くす湊を置いて歩き出して行った。



