あっと言う間に遠ざかって行く彼の姿を、半ば呆然と見送っていた和那の耳に
「すげぇ人気だ。」
呆れたような声が聞こえて来る。
「悠真。」
「今日のライブの・・・いや俺たちの世代のバンドの主役は間違いなく、アイツだったな。」
「そう、だね・・・。」
「惜しいな。」
「えっ?」
「ナミの言う通りだよ。歌はともかく、あのベースがこのまま埋もれてしまうのは。」
「悠真もそう思う?」
「ああ。正直、俺も何度も説得したんだが・・・でも、アイツがそう決めたんなら、仕方のないことだ。」
そのままふたりは、目の前で繰り広げられている大騒ぎを、しばらく見つめていた。
そして、これが和那と湊の最後の邂逅となった。大学も違い、バンドという共通の土俵も失ったふたりが再び出会える道理もなかった。
卒業して、社会に羽ばたいた和那が、『Riot Beat』がプロとして活動し始めたことを耳にしたのは、間もなくのことだった。
(私の言うことを聞いてくれたわけじゃないだろうけど・・・でもよかった。)
和那は素直に嬉しかった、一人のファンとして応援しようと決めた。
でも・・・今の彼は言った、音楽には縁遠い、むしろ苦手だったと・・・。
(あの湊の口から、あんな言葉が漏れるなんて・・・。そんな彼にまた音楽に携われって言うのは、残酷なことなのかもしれない・・・。)
相変わらず、おもちゃのピアノの音を響かせながら、でも和那の心は、ギュッと痛んでいた。
「すげぇ人気だ。」
呆れたような声が聞こえて来る。
「悠真。」
「今日のライブの・・・いや俺たちの世代のバンドの主役は間違いなく、アイツだったな。」
「そう、だね・・・。」
「惜しいな。」
「えっ?」
「ナミの言う通りだよ。歌はともかく、あのベースがこのまま埋もれてしまうのは。」
「悠真もそう思う?」
「ああ。正直、俺も何度も説得したんだが・・・でも、アイツがそう決めたんなら、仕方のないことだ。」
そのままふたりは、目の前で繰り広げられている大騒ぎを、しばらく見つめていた。
そして、これが和那と湊の最後の邂逅となった。大学も違い、バンドという共通の土俵も失ったふたりが再び出会える道理もなかった。
卒業して、社会に羽ばたいた和那が、『Riot Beat』がプロとして活動し始めたことを耳にしたのは、間もなくのことだった。
(私の言うことを聞いてくれたわけじゃないだろうけど・・・でもよかった。)
和那は素直に嬉しかった、一人のファンとして応援しようと決めた。
でも・・・今の彼は言った、音楽には縁遠い、むしろ苦手だったと・・・。
(あの湊の口から、あんな言葉が漏れるなんて・・・。そんな彼にまた音楽に携われって言うのは、残酷なことなのかもしれない・・・。)
相変わらず、おもちゃのピアノの音を響かせながら、でも和那の心は、ギュッと痛んでいた。



