そして、時が流れ、和那は就職と共に、バンド活動を卒業。たまに昔の仲間たちと集まって、気分転換にセッションを行う時以外は、ピアノに触れることはなくなったが、この「ピアニスト南澤和那」の原点とも言えるそのピアノだけは、和那が実家を出て、一人暮らしを始めて以降も、彼女と共にあった。それでも、最後に触ったのがいつだったか、思い出せない。でも、今日はどうしてもあの音が聞きたかった。
鍵盤に指を置く、音が鳴る・・・ホッとした思いが胸を満たす。
すぐに彼女の右人差し指が、幼い子供のように、1つ1つ順番に鍵盤に置かれ、1つの曲が奏でられて行く。
「🎵ソ ド ド レ ミ ソ ラ ファ ド ラ ソ ラ ソ・・・。」
こんな時、和那が奏でるのは童謡「しゃぼん玉」に決まっていた。彼女が初めて、習った曲。やはり彼女にとっては原点の曲だ。
久しぶりの音に、胸の奥が静かに痛んだ。和那がこの曲を奏でる時、それは彼女が寂しさや悲しみを抱いた時が多かった。今も・・・だ。
(大学卒業と共に、バンド活動から離れることに私は疑問を抱いたことはなかった。就職して社会人となるのだから、自分の青春に一区切りを付けることは、むしろ当たり前のことだと思ってた・・・。)
続けたいという気持ちが、自分の中に本当になかったのか、改めて考えてみる。でも結論は同じだった、その先は自分たちが目指せる場所じゃない。自分だけでなく、当時の仲間たち、みんなの意見が一致していた。
(でも、彼は、私たちとは絶対に違った。彼はその先に進める人、進むべき人、私にはそう思えた。そして実際の彼はその道を選んだ。当然だと私は思った。だから応援してたし、彼の成功を信じていた・・・。)
鍵盤に指を置く、音が鳴る・・・ホッとした思いが胸を満たす。
すぐに彼女の右人差し指が、幼い子供のように、1つ1つ順番に鍵盤に置かれ、1つの曲が奏でられて行く。
「🎵ソ ド ド レ ミ ソ ラ ファ ド ラ ソ ラ ソ・・・。」
こんな時、和那が奏でるのは童謡「しゃぼん玉」に決まっていた。彼女が初めて、習った曲。やはり彼女にとっては原点の曲だ。
久しぶりの音に、胸の奥が静かに痛んだ。和那がこの曲を奏でる時、それは彼女が寂しさや悲しみを抱いた時が多かった。今も・・・だ。
(大学卒業と共に、バンド活動から離れることに私は疑問を抱いたことはなかった。就職して社会人となるのだから、自分の青春に一区切りを付けることは、むしろ当たり前のことだと思ってた・・・。)
続けたいという気持ちが、自分の中に本当になかったのか、改めて考えてみる。でも結論は同じだった、その先は自分たちが目指せる場所じゃない。自分だけでなく、当時の仲間たち、みんなの意見が一致していた。
(でも、彼は、私たちとは絶対に違った。彼はその先に進める人、進むべき人、私にはそう思えた。そして実際の彼はその道を選んだ。当然だと私は思った。だから応援してたし、彼の成功を信じていた・・・。)



