元プロバンドマンの部下は、私に気づかない~まさかの再会オフィスラブ~

やや気まずそうな表情で自分を見る湊に


「これまでとはちょっと毛並みの違った案件だけど、結構楽しいよ。だからよろしくね。」


和那は努めて明るい表情で言った。


「南澤さん。昔、音楽やってらしたんですか?」


それに対して、珍しく湊の方から尋ねて来たから、和那は驚いて、彼の顔を見た。


「いや、すみません。みなさんがそんなことを言ってたんで・・・。」


和那の反応に申し訳なさそうな表情になった湊に


「まぁね。」


和那は曖昧に答える。


「バンドとかで・・・ですか?」


「そうだね。」


「楽器は何やってたんですか?」


「キーボード。」


「そうなんですか、意外です。」


湊は本当に驚いたように言った。


「そう?」


「いや、その・・・もっと、ちゃんとしてる人だと思ってました。」


「何それ?」

 
和那は、思わず吹き出した。


「バンドやってる人に謝って。」


「すみません。」


そう言いながら、湊も珍しく笑みをこぼした。


「そう言う・・・」


ここで一瞬、和那は躊躇った。しかしすぐに続けた。


「朝比奈さんはどうなの?」


「えっ?」


「君は音楽との関わりはあるの?」


そう言った和那の胸中に緊張が走る。


(なんて答えるんだろう・・・。)


そして、湊の答えを待った。