元プロバンドマンの部下は、私に気づかない~まさかの再会オフィスラブ~

高校での3年間は、文化祭での演奏をメインに、校内イベントで活躍。そして大学進学、和那たちは念願の軽音楽部に入部。


「これでだいぶ活動がやり易くなるね。」


「そうだね。」


和那と柚希は喜んだが、ここで誤算が生じる。


和那たちは、当然高校以来の4名のメンバ-で活動して行くつもりだったが、大学には彼女たち系列校から上がって来た「内進生」だけでなく、受験や推薦で全国から入学して来た「外進生」がいる。


そして軽音部に入った外進生たちは、これまでの人間関係などお構いなしに、バンドメンバ-を探し始め、更に、和那の学年はたまたま女子が少なく、結果、彼女たちの奪い合いのような状況が生じてしまい、結局ベースとドラムのメンバ-はそれぞれ別のバンドに加わることになり、バンドは事実上解散状態になってしまった。


「まいったね・・・。」


「うん・・・。」


想定していなかった事態に、ふたりは思わずため息をつく。


「どうする?」


「どうするって、こうなった以上、私たちも新しいメンバ-探すしかないよ。」


「そうだよね・・・。」


彼女たちにも、当然様々な誘いはあったが、まさかこんなことになるとは思っておらず、全て断って来た。結果、もう完全にメンバ-集めに出遅れてしまった形になってしまっていたのだ。


途方に暮れる和那に


「ナミちゃん、俺たちと組まないか?」


と声を掛けて来たのは、同学年の柏木悠真(かしわぎゆうま)だった。和那はここでも「ナミ」だった。