夜明け直後の冷たい空気がまだ残る森の道を、
クラウスが操る馬車がゆっくりと進む。
関所を越えた緊張はまだ抜けないが、
空気の匂い、地面の色、風の流れが、
そこがもうユーフォルビアではないと告げていた。
やがて木々が途切れ、
視界がぱっと開けた瞬間、
そこに一人の男が立っていた。
長い外套、深い紫の刺繍、
朝日に淡く輝く金色の髪。
その胸元には――蓮の紋章。
エルヴィンは息を呑む。
「……蓮の花の公爵だ」
クラウスは身を乗り出してそれを確認すると、
心の底からほっとしたように座席に崩れ落ちた。
男は軽く帽子を取って、
静かに微笑んだ。
「お待ちしておりました。私はロバート・オルフェウス。
ロータスの騎士団のリーダーを務めております。」
エルヴィンは手綱を離し、
公爵の前に進むと胸に手を当て、
深々と頭を下げた。
「ご助力に、どれほど救われたか……言葉もございません。」
シルヴィアも震える声で続いた。
「本当に……命を救っていただき、ありがとうございました……」
オルフェウス公爵は優雅に首を振った。
そしてエルヴィンの礼を制するように
優しく手を挙げる。
「頭を上げてください。今日ここに無事に辿り着けたのは、あなた方自身の勇気と覚悟の賜物です。私たちは少し手を貸しただけにすぎない」
その言葉に、シルヴィアの瞳がじんわりと潤む。
“救済の騎士”は、
紛れもなく本物だったのだ。
「救うべき者を救ったまで。ウィステリアは、才能ある者を喜んで受け入れる国です。
あなた方のように、民を思い、未来を見据える若者を迎え入れられることは、我が国にとっても恩恵です。」
その言葉に、エルヴィンの胸が熱くなる。
シルヴィアも心を打たれて、肩を震わせた。
クラウスが操る馬車がゆっくりと進む。
関所を越えた緊張はまだ抜けないが、
空気の匂い、地面の色、風の流れが、
そこがもうユーフォルビアではないと告げていた。
やがて木々が途切れ、
視界がぱっと開けた瞬間、
そこに一人の男が立っていた。
長い外套、深い紫の刺繍、
朝日に淡く輝く金色の髪。
その胸元には――蓮の紋章。
エルヴィンは息を呑む。
「……蓮の花の公爵だ」
クラウスは身を乗り出してそれを確認すると、
心の底からほっとしたように座席に崩れ落ちた。
男は軽く帽子を取って、
静かに微笑んだ。
「お待ちしておりました。私はロバート・オルフェウス。
ロータスの騎士団のリーダーを務めております。」
エルヴィンは手綱を離し、
公爵の前に進むと胸に手を当て、
深々と頭を下げた。
「ご助力に、どれほど救われたか……言葉もございません。」
シルヴィアも震える声で続いた。
「本当に……命を救っていただき、ありがとうございました……」
オルフェウス公爵は優雅に首を振った。
そしてエルヴィンの礼を制するように
優しく手を挙げる。
「頭を上げてください。今日ここに無事に辿り着けたのは、あなた方自身の勇気と覚悟の賜物です。私たちは少し手を貸しただけにすぎない」
その言葉に、シルヴィアの瞳がじんわりと潤む。
“救済の騎士”は、
紛れもなく本物だったのだ。
「救うべき者を救ったまで。ウィステリアは、才能ある者を喜んで受け入れる国です。
あなた方のように、民を思い、未来を見据える若者を迎え入れられることは、我が国にとっても恩恵です。」
その言葉に、エルヴィンの胸が熱くなる。
シルヴィアも心を打たれて、肩を震わせた。



