わたしは安福先輩の何ですか?

「何するんですか!」

思わずハンドルから手を離しちゃった。
しかものけ反っちゃったから自転車ごと私まで後ろに倒れちゃって尻もちをついた。

「何するつもりで…っ」

「何するつもりだったと思う?」

「…っ」

今度はいつもの笑い方だった、にこりと笑って私の前にしゃがみ込む。
気だるそうにふぅっと息を吐いた時には、煩わしそうに目を細めた。

「本当、みらのは蒼ちゃんばっかだよ」

膝の上で肘をついて、その上に顔を乗せてまるで遠くを見るみたいに。

「蒼ちゃんのことしか言わないし、蒼ちゃんのことしか考えてないし、口を開けば蒼ちゃんのことばっかで…」

下を向いた、どんどん小さくなっていく声が力をなくしていく。

「俺に勝てるとこなんかなかったね」

粋先輩の泣きそうな声が胸に刺さる。

ズキッと胸の奥が締め付けられて、口が固まって動かない。

俯いた粋先輩の頭しか見えなくて…

「みらのちゃん…!」

遠くから聞こえた大きな声に粋先輩が顔を上げた。

「大丈夫!?」

安福先輩…

ハッとした顔を見せて私の元へ駆け寄ってきた。

ぎゅっと肩を掴んで引き寄せたから、トンッと安福先輩の体に触れた。

「クボちゃん、みらのちゃんに何したの?」

キッと目に力を入れた安福先輩が粋先輩の方を見る。

「何もしてないけど」

「本当に?」

「何、疑ってんの?」

「安福先輩、あの…っ」

安福先輩の触れた肩に力が入って熱い、安福先輩の手が熱い。

こんな時でも私の心臓はドキドキしてた。


「みらのちゃんの彼氏は俺だから」