わたしは安福先輩の何ですか?

…あ、しまった。
もうそれが普通になってた、何の抵抗もなく名前で呼んでた。

それを言われるとか、思わなくて。

「あ、そーいえば久保田は2号のことみらのって呼んでたことない?」

「あ、それはっ」

「呼んでた~~~~~!名前で呼び合ってるだ、かわいいーーー♡」

「ちがっ」

「照れんな照れんな~!!」

「照れてないですっ!」

私が何か言う間もなくどんどん盛り上がっていく、全く否定させてもらえなくてむしろ否定すればするほど怪しく思われちゃって。

違うのに、本当に違うのに…っ

私には安福先輩がいるのに、安福先輩が…!


どんな顔してるのか、怖くて見れなかった。


…粋先輩はふーんってした顔でメロンソーダ飲んでるし。

どうすればいいかな?ちゃんと言いたいのに、言えなくて。

このままだと粋先輩と付き合ってることになっちゃう。

みんなが騒いでるだけだし、勝手に言わせておけばいいのかもしれないけど、でも…


安福先輩の前ではやっぱり嫌だよ。


「2人は付き合ってないよ」


足を組みながらピコピコとデンモクを操作する鈴木先輩の声にみんなが振り返った。あれだけキャーキャー言っていたカラオケルームがしんっとして。

「ちゃんと聞いたから。付き合ってないんだって、ねぇ2号?」

今度はくるんっと首の向きを変えてこっちを見た。一斉に見るからビクッとしちゃって。

「…付き合ってないです」

みんなの凝視するような視線にちょっとだけビクビクしちゃって、空気壊してないかなとかそんな注目されていうことでもないかなとか考えちゃって。

「なんだよ、噂かよ!」
「違ったんだ、ごめんね勝手に盛り上がって」
「わかった、代わりになんか歌う!リクエストくれ!」
「それはいらん」

でも全然そんなことなくて、すぐにわぁっとさっきの空気が戻って来たから。

鈴木先輩の一言で、鈴木先輩の一言に助けられちゃった。
鈴木先輩は見た目も中身も本当にすてきな人だなぁ。

それに比べてこっちは…

「チッ」

舌打ちって…
マジでほんとに、この人…