わたしは安福先輩の何ですか?

ばいばいと手を振って駆け出した。

安福先輩から離れるように、もう治った足はちっとも痛くないのに相変わらず胸はズキズキと痛んで。
鼻の奥がツンとして瞳を刺激する、泣きたくなんかないのに。


苦しい、胸が苦しい…!


「!」

下駄箱から走って校門を右へ曲がろうと思った、だけど…
門に寄りかかった粋先輩がいたから。
つい立ち止まってしまって。

「……。」

口が動かない、たぶん今開いたら涙が出て来ちゃう。

ここで泣きたくない、粋先輩の前で…っ

「みらの待ってたんだけど?」

なんで、そんなこと言うんですか。
泣きそうな私の顔見てそんなこと言わないでください。

くすっと笑って私の顔をのぞき込む。

「だって俺みらのの彼氏だし?」

してやったり顔で。

「…違いますよね?」

「え、そう聞いたけど?」

「噂どうにかしてくださいよ!」

あの時のおんぶのせいで!

あれがこんな大騒ぎになるとか思ってなかった、粋先輩の影響力ハンパなかった。

どれだけ私が毎日学校で世知辛く過ごしてると…っ!

「そんだけ全速力出来るってことはもう足はいいんだね」

「え…あ、はい。もう全然平気…です」

もう一度粋先輩が笑った、ふっとやさしい笑顔で。

それはそれで少しだけ…
なんか、なんとなく。

「よかったね」

そんな風に微笑みで返されると思わないから。