わたしは安福先輩の何ですか?

この張り詰めた空気を一掃するかのように現れた。
粋先輩にそんな意思はなかったけど、私には救世主だったから。

潤んだ瞳で見ちゃったの、助けてって言うみたいに。


そんなこと言われても困ったよね、粋先輩は。


「どうした?」

急にワンオクターブ下がった声で、らしくない声だった。粋先輩でもそんな声出せるんだって思うほどに。

「みらの」

その声に、もう我慢が出来なくて。

見てられなかった、安福先輩のこと。

「あ、そうだ今日粋先輩と約束してましたよね?」

だからスッと隣を離れて粋先輩の腕を掴んだ。ぎゅっと力を入れて、震えそうになる手を抑えるように。

「私忘れてて…っ、すみません!すっかり忘れててっ」

背を向けてなるべく見ないように、たぶん今見ちゃったらもう取り返しがつかなくなるから。

「ごめんなさい、安福先輩…っ」

「え、みらのちゃん!?」

「ごめんなさい…!」

「みらのちゃんっ」

無理やり粋先輩の腕を掴んで駆け出した。

「行きましょう、粋先輩!」

強引にその場から離れたくて、絶対振り向かないようにとにかく走ることしか出来なかった。

こんなはずじゃなかったのに、こんなことになるなんて思ってなかったのに…


あのホームランが目に焼き付いて離れない。