初恋リスタート

それにしても、これだけ痩せたのにあっさり気づくなんて……。

あんなふうに振ったくせに、私のことを覚えていたのが意外すぎる。


「骨マニアって……?」


変わった趣味もあるものだと思ったけれど、あの書類にステムということは、人工関節のメーカーの営業なのだろう。

整形外科の患者さんのリハビリもよく担当するが、まったく知らなかった。

彼がこんなに身近なところにいるとは、びっくりのひと言だ。


また会ってしまうだろうか。

理学療法士をやっていることは明かさなかったし、メーカーの営業がリハビリ室に来ることはまずない。

多分大丈夫だと思うけど……。


逃げるように出てきた私は、もう会いませんようにと心の中で祈った。



それから一週間。廉太郎くんとは顔を合わせることもなく、胸を撫(な)で下ろしている。

もうあんな苦い思い出は封印してしまいたい。


ハードな仕事にへとへとになりながら、帰宅の途に就いた。