初恋リスタート

「この細い腕はどうした。体調悪い? それとも、なんか悩みでもある?」


遠慮なしに私の腕をつかむのは、あの頃と同じ。

高校二年生で隣の席になった彼は、初日からいきなり私の腕をつかんで『ちょっと太った?』と言い放った、まったく遠慮のない男なのだ。

太っているのを気にしていたので余計に。

ただあとから聞いたところによると、私が一年生の冬に体調を崩して長らく休み、食べられずに痩せてしまったのを知っていたらしく、体調が戻ったのかと心配しただけのようだったが。

それにしても言い方というものがある。


「別に悩みなんてないわよ。ダイエットしただけ」
「本当か?」


真剣な表情の彼は、本気で心配してくれているようだ。


「う、うん。ほんと」
「でも、病院に来てるってことは、やっぱりどこか悪い――」
「江島さん。野上先生、今なら面会OKだって」


そのとき、外来看護師の堀田(ほった)さんが診察室から出てきて、廉太郎くんを呼んだ。


「ありがとうございます」