初恋リスタート

彼はどんどんカゴに商品を突っ込んでいく。


「コーヒー切れてたな。忘れてた。ビール」
「食費はテインさんと割ってるの?」


晶ちゃんには払わせていないと思い尋ねる。


「最初は各々って感じだったんだけど、冷蔵庫がひとつしかないから、昨日みたいになるんだ。だから足りないと思ったらどっちかが補充することが多いな。ただテインは、ささみとかヨーグルトとかばっかり買ってくるんだよ。あの筋肉お化け」


鶏のささみを買い占める様子を想像して、笑ってしまう。


「晶にもたまに買い物に行かせる。どんな形でも社会とつながっててほしいから、たとえアイスひとつでも買えたらOK」


本当に晶ちゃんのことを考えている姿勢が伝わってきて、感心すら覚える。


「俺、あいつがいつか漫画家としてデビューしたら、最初のサインもらう約束してるんだ。今は投資だ。原稿料でうまい肉食わせてもらう」


デビューがそんなに簡単ではないことを知っていて、でも本気で晶ちゃんの成功を信じている気がする。