九年ぶりに会ったとは思えないほど、スムーズに会話ができている。
いや、むしろあの頃より周りの目がない分話しやすいかも。
「とりあえず、早く買い物済ませてダラダラしようぜ」
彼は慣れた手つきでカートにカゴをのせる。
「俺、たまご争奪戦行ってくる。これ頼んだ」
「ん?」
廉太郎くんはあっという間にお客さんたちの波に呑み込まれて行ってしまった。
「たまご、特売なんだ」
来る人来る人、同じ方向に向かっていく。
「意外としっかりしてる」
ちょっと悪ぶっていたあの廉太郎くんが、たまごの列に並ぶなんて信じられない。
「なに買えばいいの? ウインナーか」
残された私はどうしたらいいかわからず、とりあえず食べてしまったウインナーを探しに店の奥へと向かった。
すぐに私を見つけて近寄ってきた廉太郎くんの手には、しっかりたまごのパックが握られていた。



