間違いない。高校の同級生の、江島廉太郎(れんたろう)くんだ。
まさか、この病院に出入りするメーカーさんだったなんて。世間は狭い。
「こ、こちら落としませんでしたか?」
我に返って書類を差し出すと、彼はしまったという様子でそれを受け取る。
「すみません、私のです。助かりました」
「よかったです。それでは」
軽く会釈をして離れようとしたのに、腕をつかまれてギョッとする。
「英奈、だよな」
素知らぬ振りをして別れたかったのに、気づかれた?
あの頃より十キロちょっと痩せたのでわからないだろうと高をくくっていたけれど、彼は確信しているようで手を放してくれない。
「えーっと、そう、かも」
「久しぶりだな」
「……うん。久しぶり」
運命というものは残酷だ。
できればもう二度と会いたくなかったのに。
廉太郎くんは私の元カレなのだ。
――たった三日の。
「どうしたんだよ。ちゃんと食ってるのか?」
「えっ?」
まさか、この病院に出入りするメーカーさんだったなんて。世間は狭い。
「こ、こちら落としませんでしたか?」
我に返って書類を差し出すと、彼はしまったという様子でそれを受け取る。
「すみません、私のです。助かりました」
「よかったです。それでは」
軽く会釈をして離れようとしたのに、腕をつかまれてギョッとする。
「英奈、だよな」
素知らぬ振りをして別れたかったのに、気づかれた?
あの頃より十キロちょっと痩せたのでわからないだろうと高をくくっていたけれど、彼は確信しているようで手を放してくれない。
「えーっと、そう、かも」
「久しぶりだな」
「……うん。久しぶり」
運命というものは残酷だ。
できればもう二度と会いたくなかったのに。
廉太郎くんは私の元カレなのだ。
――たった三日の。
「どうしたんだよ。ちゃんと食ってるのか?」
「えっ?」



