初恋リスタート

しばらくそのまましゃがんでいたものの、目の前の道路を車が一台通っていっただけで人の気配はない。


それからどれくらい待ったのか。
緊張と心配で顔をこわばらせていると、足音が聞こえてきた。

その足音が家の前でピタリと止まるので、心臓が口から飛び出てきそうなほど大きく動き始める。


「英奈、いる?」


そう声をかけられて、安堵のあまりその場に座り込んでしまった。


「うん」


涙声で返事をすると、暗がりで半泣きになっている私を見つけた廉太郎くんが近寄ってくる。


「まったく、ポーチライトくらいつけとけってな。怖かったよな?」


そういえば、家の中には照明がついている。
誰かいるのかもしれない。

こんな一軒家でひとり暮らしというのもおかしいし、彼の実家はここじゃない。

ということは……奥さん?


「あいつは撒いたから心配ない。念のために別ルートから帰ってきたから遅くなった。ごめん」