初恋リスタート

廉太郎くんが普通に商品を買うよう促したのは、ストーカーに気づいているとバレないようにするためだろう。

震えそうになりながらスマホで決済を済ませて出口に向かうと、ストーカーの男も動きだす。


間違いない。
つけられている。


怖さのあまり息苦しさを覚えたけれど、ドアの向こうに廉太郎くんの姿が確認できたため、酸素が肺に入ってきた。


高校時代の彼はとにかく頼りがいがあり、人気者だった。

かといって学級委員をやるタイプではなく自由奔放で、先生の目を盗んで授業をサボったり、宿題忘れの常連だったりもした。

ちょっと悪びれた姿も見せる彼は、女子から爆発的な人気があった。

私にとっては、初めてできた彼氏であり、同時に私の浮かれた気持ちをあざ笑うかのように三日であっさり終止符を打った悪魔のような人でもある。

完全にトラウマとなり、その後の恋愛もまったくうまくいっていない。


とはいえ、今はそんなことを言っていられる状況ではない。