初恋リスタート

警察を呼んでもらったところで、今のところなにかされたわけでもなく、偶然同じ場所にいただけだと主張されるだろう。

それなら廉太郎くんを頼って逃げたほうがいい。


「お願いします」

「了解。俺が先にレジを済ませて外にいるから、英奈もレジを通して普通に出てきて」


廉太郎くんはごく自然な様子で今度はミネラルウォーターに手を伸ばしている。

一方私は、緊張でショーケースの引き手に手を置いたまま防犯ミラーを凝視していた。


「コンビニを出て右。すぐの道を左折。二本目をもう一回左折。右手三軒目の一軒家にまほろば荘(そう)という表札がかかってるから、そこに飛び込んで門に隠れて待ってて。俺は男が距離を取るよう仕向ける。それじゃあ」


彼は早速行動を開始した。

怖くてたまらなかったけれど、助けてくれるのが廉太郎くんだとわかって気持ちが落ち着いた。

助けてもらうにも、知らない人とよく知る人とでは安心感がまるで違う。


まず、レジ……。