詩音と海と温かいもの

 冬休みに、年末とお正月だけ一緒に川瀬さんのお家にお邪魔した。

 夜は推薦で大学を決めていて、あとは美海だけだったから、夜と一緒に宿題をしつつ、美海とも勉強した。

 二人は大学も別々だけど、相変わらず仲が良くて、安心した。


「僕が大事なのは美海だけだからさ。詩音は知ってるだろ?」

「私以外も夜のことを知ってる人なら、だいたいみんな知ってると思うよ」

「……高校には知らない人の方が多いから」


 夜は顔がきれいだから、高校に入ってから、ちょいちょい告白されたりしていたらしい。

 それも「幼馴染みでプロポーズ済みの彼女がいるから」って断っても、しつこかったりして大変だったみたいだ。


「モテるって大変だねえ」

「ちっとも嬉しくないよ。男子校にしとけばよかった」

「この辺に男子校ってあんまりないもんねえ」


 美海は美海で、たまに告白されたりはあったみたいだけど、夜と撮った写真をスマホの待ち受けにしてたら、なくなったらしい。まあ、夜の顔を見たら、張り合う気はしなかっただろう。


「詩音はお兄ちゃんといい感じ?」


 お正月、美海の部屋で二人で勉強をしていたときに、ふと聞かれた。


「うん。三が日が終わったら、向こうに戻って本格的に一緒に住む部屋を探すよ」

「いいなあ」

「でもまだちゅうの一つもしてないんだ」

「お兄ちゃん真面目だから」

「夜は?」

「い、言わないよ! ……してなくも、ない」

「いいなあ……」


 そんな感じで、私の高校生活は確実に終わりへと向かっていた。