詩音と海と温かいもの

 その話をした、さらにその後。たしか高校二年の夏休み前に、匠海さんから、


「詩音ちゃんが高校を卒業したら、一緒に住もうか」


 と、誘われた。


「えっ」

「それとも、大学もこのまま寮にいる?」

「それは……どうしようかなとは思ってたけど」


 大学にも寮はあるけど、内部生用の寮は高等部より規模が小さくなるし、寧々子も寮を出るって言っていたから、迷っていたところだった。

 でも、そうか。そんな選択肢もあるんだ。


「……俺は詩音ちゃんのこと好きだし、なんだかんだ半同棲みたいになってるし……。あと、今更なんだけど、何年か前の年末に詩音ちゃんのお父さんに『詩音さんが望むなら、俺は詩音さんを妻にします』って言ってあって」

「それ、先に私に言ってよ」


 つい笑うと、匠海さんは気まずそうな顔になった。


「匠海さん、よろしくお願いします」

「それって」

「匠海さんの奥さんにしてくださいってこと」

「……こちらこそ、不束者ですがよろしくお願いします」

「それ、私のセリフじゃん」


 私たちは笑って、一生一緒にいることを約束した。