ランク付けが終わったあと。
広いホールから人が引いていくと、選ばれた4人だけが残った。

たくとひかは、相変わらず左右に立って、
私を囲うみたいに見守っている。

その少し後ろに、Aに上がったばかりの――
はるくんとふみくん。

まだぎこちないけど、目がキラキラしてる。

「月姫奈ちゃん、今日…えっと、その……」
ふみくんはさっきよりは頑張ってるけど、
やっぱり噛み噛みだ。

「はるくんも、ふみくんも、よろしくね。」
笑って言うと、2人の耳が赤くなった。

たくの視線が横でギラッと光った。

「月ちゃん、近い。寄りすぎ。」
不満顔で腕を掴まれ、ぐいっと引き寄せられた。

「ちょ…たく……」

その瞬間、はるくんが一歩前に出た。

「月姫奈ちゃんは、怖がってないから。そんな強くしなくていいんじゃ…ないですか?」

はるくんの声は穏やかだけど、芯がある。
たくは一瞬だけ固まった。
幼馴染みのひかでさえ見せない、妙な緊張。

「……は?おまえ、何だよ突然。」
たくが眉をひそめる。

「今、そういう話じゃないよね」
ひかも低い声で入ってくる。

空気がピリッと張りつめた。

ここ、私んちの組織なんだけど!?
なんでイケメン達が勝手に威嚇しあってんの!?
少女漫画かよ!!!(嬉しい)

でも、このまま喧嘩になったら、
また誰か蹴られる未来しか見えない。

「はーい、落ち着いて?」
私は二人の間にすっと入った。

「ほら、はるくんもふみくんも、まだ緊張してるでしょ?
仲良くしてよ、ね?」

一瞬の沈黙のあと。

「……月ちゃんが言うなら」
たくが先に折れる。

ひかも続けて、フッと笑って肩をすくめた。
「分かったよ。月姫奈の前だしな。」

ほっ。

その後はちゃんと、4人で会話することに。

✦ はるくんは丁寧で優しくて、喋るたびに
可愛い

✦ ふみくんは照れながらも一生懸命

✦ たくはずっと近い

✦ ひかは時々嫉妬してる

完全に私、四方から好かれてる状態じゃん。
天国かな?天国だよね???

話してるうちに、ふみくんがふとつぶやいた。

「月姫奈ちゃんと話すと…なんか、頑張れる気します。」

ひゅん、と空気が少し甘くなる。
たくとひかの表情が固まる。

やば。
モテ期、絶頂なんだが???

「今日はありがとう!たくもひかも、はるくんも、ふみくんも!」
私が笑って手を振ると、

4人とも一気に顔をほころばせた。

それぞれ違う顔で。
違う熱を帯びて。

そして私は、その日の夜ベッドで気づく。

この4人の関係、ここから確実に変わる。

そう予感して、胸が妙にどきどきした。