春の朝。
陽の光がまだ柔らかい教室に、
長いポニーテールを揺らしながら陽芽は入っていった。
「……ここが、私の席かぁ。」
窓側の列、前から二番目。
椅子に腰をかけ、息をついた瞬間――
「はじめまして!席前後だね私たち!」
明るい声がして振り返ると、
サラッとした髪を下ろし、明るく笑顔の
可愛い女の子がいた。
「え、あ、うん!よろしく……?」
「私は、榎本咲良!
あなたは?」
「石川陽芽!」
「陽芽ちゃんね。覚えた。」
にこっと笑う咲良の笑顔が、
なんだか一瞬で空気を軽くした。
入学式が終わったばかりの教室で、
ふたりはさっそくおしゃべりに夢中になった。
「部活どうするの?」
「え、まだ決めてなくて……マネージャーとか楽しそうだけど。」
「じゃあ一緒に見に行こうよ!」
その瞬間だった。
教室の扉が突然開き、二人の男子が顔を出した。
「おーい咲良ー、迎えに来たぞ。」
「咲良、帰んぞー。」
どこか似た雰囲気を持つ二人。
爽やかスポーツ系の空気がひと目で分かる。
そして、周りの女子たちの小さな歓声。
(え、すごい……人気じゃん……)
「あ、遥太、遥輝。
ちょうどいいところ来た。」
咲良は2人に向かって軽く手を振る。
「幼なじみなんだ。」
「へ、へぇ……」
その時だった。
背の高いほう、遥太が陽芽を見た瞬間、
微かに目が揺れた。
(……え、なんか見られてる……?)
数秒。
本当に数秒だけ、遥太の視線が陽芽に吸い付く。
それを見逃さなかったのは――
もうひとりの幼なじみ、遥輝だった。
「なぁ陽芽ちゃん、サッカー部のマネ興味ある?」
「えっ、サッカー……?」
「おまえいきなりすぎんだろ」
「いいじゃん。マネ足りてないし、
美少女は即戦力。」
「遥輝、お前言い方がチャラいんだよ。」
「えー?だって、本気で誘ってるし。」
遥太が小さく眉をひそめ、
横目で陽芽をチラッと見た。
「……別に、無理に決めなくていいから。」
その声が妙に優しくて、
陽芽の胸は少しだけきゅっとした。
(なんでだろ……ちょっと顔赤くない?)
咲良はにやっと笑い、遥輝の腕をつつく。
「ねぇ遥輝、」
「言うな咲良。」
遥太が焦って遮った。
「は!?なんで遮るの?」
「余計なこと言うからだろ。」
「余計なことじゃないし、」
幼なじみ3人の会話に入れず、
けれど陽芽の胸はなぜかくすぐったかった。
――そんな春の始まり。
これが、4人の“恋”のはじまりだった。
陽の光がまだ柔らかい教室に、
長いポニーテールを揺らしながら陽芽は入っていった。
「……ここが、私の席かぁ。」
窓側の列、前から二番目。
椅子に腰をかけ、息をついた瞬間――
「はじめまして!席前後だね私たち!」
明るい声がして振り返ると、
サラッとした髪を下ろし、明るく笑顔の
可愛い女の子がいた。
「え、あ、うん!よろしく……?」
「私は、榎本咲良!
あなたは?」
「石川陽芽!」
「陽芽ちゃんね。覚えた。」
にこっと笑う咲良の笑顔が、
なんだか一瞬で空気を軽くした。
入学式が終わったばかりの教室で、
ふたりはさっそくおしゃべりに夢中になった。
「部活どうするの?」
「え、まだ決めてなくて……マネージャーとか楽しそうだけど。」
「じゃあ一緒に見に行こうよ!」
その瞬間だった。
教室の扉が突然開き、二人の男子が顔を出した。
「おーい咲良ー、迎えに来たぞ。」
「咲良、帰んぞー。」
どこか似た雰囲気を持つ二人。
爽やかスポーツ系の空気がひと目で分かる。
そして、周りの女子たちの小さな歓声。
(え、すごい……人気じゃん……)
「あ、遥太、遥輝。
ちょうどいいところ来た。」
咲良は2人に向かって軽く手を振る。
「幼なじみなんだ。」
「へ、へぇ……」
その時だった。
背の高いほう、遥太が陽芽を見た瞬間、
微かに目が揺れた。
(……え、なんか見られてる……?)
数秒。
本当に数秒だけ、遥太の視線が陽芽に吸い付く。
それを見逃さなかったのは――
もうひとりの幼なじみ、遥輝だった。
「なぁ陽芽ちゃん、サッカー部のマネ興味ある?」
「えっ、サッカー……?」
「おまえいきなりすぎんだろ」
「いいじゃん。マネ足りてないし、
美少女は即戦力。」
「遥輝、お前言い方がチャラいんだよ。」
「えー?だって、本気で誘ってるし。」
遥太が小さく眉をひそめ、
横目で陽芽をチラッと見た。
「……別に、無理に決めなくていいから。」
その声が妙に優しくて、
陽芽の胸は少しだけきゅっとした。
(なんでだろ……ちょっと顔赤くない?)
咲良はにやっと笑い、遥輝の腕をつつく。
「ねぇ遥輝、」
「言うな咲良。」
遥太が焦って遮った。
「は!?なんで遮るの?」
「余計なこと言うからだろ。」
「余計なことじゃないし、」
幼なじみ3人の会話に入れず、
けれど陽芽の胸はなぜかくすぐったかった。
――そんな春の始まり。
これが、4人の“恋”のはじまりだった。

