夢幻に消えた君と、存在しない約束の続きを。



それからの数日間、僕は廃人のようだった。
食事を運んでくる看護師さんの声も、小林先生の心配そうな診察も、すべてが厚い膜の向こう側の出来事のように感じられた。


ただ一つ、心の中で燃え続けているのは、狂おしいほどの飢餓感だった。


会いたい。蒼に、会いたい。


幻覚だった彼女ではなく、今、この空の下のどこかで呼吸をしている、本物の小野蒼に。


「先生、僕はいつ退院できる?」


数日ぶりに口を開いた僕の言葉に、小林先生は眉をひそめた。


「今の君の状態では、まだ許可は出せないよ。精神的なショックが大きすぎる」


「僕は元気だよ。心臓も、脳も。⋯⋯ただ、会わなきゃいけない人がいるんだ」


僕は小林先生の目を真っ直ぐに見据えて言った。
その瞳の奥にある執念に、言葉を失ったようだった。