『しらない。このひと、だれ⋯⋯?』 その言葉が、心臓に突き刺さった杭のように疼き出す。 僕は自分の胸を掻き毟り、狂ったように頭を床に打ち付けようとした。 思い出してしまった代償は、あまりに重かった。僕の脳が、再び過負荷に悲鳴を上げている。 「嫌だ⋯⋯思い出させないで⋯⋯。でも、忘れたくない。蒼、蒼⋯⋯っ!」 僕は自分の名前さえ思い出せなくなるような感覚。 僕の意識はぷつりと途切れた。