商店街に入ると、熱気と光の洪水が僕たちの感覚を揺さぶった。
立ち並ぶ露店からは甘いクレープの香りが漂い、アーケードの天井には星を模した電飾が輝いている。
「見て、佑介くん!あのサンタさん、踊ってるよ!」
蒼がはしゃいで指差す。
その姿があまりに鮮やかで、僕の胸は幸福感で満たされる。
ふとした瞬間だった。
商店街の入り口に設置された巨大なツリーの電飾が強く瞬いたと同時に、僕の視界がぐらりと歪んだ。
隣を歩く蒼の輪郭が、チカチカとする光の粒子に混ざり、背後の景色が透けて見えるような錯覚に襲われたのだ。
「⋯⋯っ!」
僕は喉の奥で悲鳴を飲み込み、反射的に、蒼の手を砕かんばかりの力で握りしめた。
「佑介くん⋯⋯?どうしたの、そんなに強く⋯⋯」
蒼が不思議そうに僕を見上げる。その瞳には、不安そうな僕の顔が映っていた。
「なんでもない。⋯⋯ただ、はぐれないようにと思って」
「もう、子供じゃないんだから。でも⋯⋯ありがとう。嬉しいよ」
蒼は僕の手を握り返してくれた。
彼女の指先は、僕よりもずっと温かかった。
