「絶対に、絶対にだよ、佑介くん」
蒼は僕の胸元に顔を埋めたまま、子供のように何度も繰り返した。
その必死な響きに、僕は彼女もまた、自分たちが置かれた危うさをどこかで感じ取っているのだと悟った。
「あぁ、約束だ。指切りしようか」
冗談めかして小指を出すと、彼女も少し照れながら、細い小指を絡めてきた。
「指切りげんまん、嘘ついたら〜♪」
「⋯⋯嘘はつかない。何があっても、その日は君の隣にいる」
小指から伝わる微かな体動。確かに生きようとする意志が宿っている気がした。
「イルミネーション見ようね?」
「うん。それも、約束だ」
僕たちはそれから、一晩中クリスマスの計画を立てた。
大きなツリーがある場所、蒼が行ってみたいと言っていた海沿いの公園、予約が取れそうなレストラン。
「ケーキは、苺がたくさんのってるやつがいいな」
「欲張りだな。でもいいよ、一番大きいのを頼もう」
「食べ過ぎたらだめだからね?」
叶うはずのない未来を一つずつ指折り数えて言葉にしていく。
そのたびに、砂時計の砂がサラサラと音を立てて落ちていくような幻聴が聞こえた。
けれど、僕たちは止まらなかった。
言葉にすることで、この夢を少しでも現実に繋ぎ止めておきたかったのだ。
