三者面談の修羅場は、雪菜の心を完全に打ち砕いた。志穂からの「もう顔も見たくない」という言葉は、彼女にとって、悠真の拒絶以上に深く、重く突き刺さった。愛する姉を傷つけ、家族の絆を壊してしまった罪悪感に、雪菜は耐えきれなくなっていた。
その日の夜、雪菜は誰にも告げることなく、片桐家を出て行った。
大きなトランクも持たず、ただ、小さなリュックサック一つ。
部屋に残された、遥斗からもらった雪の結晶のネックレスは、引き出しの奥深くにしまわれていた。
行き先など、決めていなかった。ただ、この場所から、この苦しみから、逃げ出したかったのだ。
外は、冷たい雨が降っていた。
傘もささずに、雪菜は雨の中を歩き続けた。
頬を伝う雨粒は、彼女の涙と混じり合い、どこまでも冷たかった。
「お姉様…ごめんなさい…」
声にならない謝罪が、雨音にかき消されていく。
翌朝、雪菜の部屋が空っぽになっていることに気づいた両親は、激しく動揺した。
「雪菜が…どこにもいない!」
母の悲鳴が、広い洋館に響き渡る。
父は、すぐに知り合いの警察や探偵に連絡を取ったが、雪菜の行方は、全くつかめなかった。
悠真もまた、雪菜がいなくなったことを知ると、顔色を変えた。
彼の心には、志穂への罪悪感と、雪菜への愛情、そして、彼女を失ってしまったことへの深い後悔が渦巻いていた。
「私が…私が彼女を追い詰めてしまった…」
悠真は、自らを責めるしかなかった。
志穂は、雪菜がいなくなったことを知ると、一瞬、驚きの表情を見せたが、すぐにその顔は、冷たい怒りに変わった。
「自業自得よ。私を裏切った罰だわ」
そう言い放つ志穂の言葉には、妹への深い傷つきと、そして、怒りを通り越した冷酷さが滲み出ていた。しかし、その瞳の奥には、どこか寂しさのようなものも見て取れた。
雪菜は、遠く離れた街で、ひっそりと生活を始めていた。
これまでの豪華な暮らしとは無縁の、小さなアパートの一室。
名前も変え、過去を全て捨て去るかのように、彼女は生きていた。
昼間は、カフェのアルバイトをして、わずかな生活費を稼ぐ。
夜は、一人、窓の外を眺めながら、故郷の家族や、悠真のことを思い出す。
あの雨の夜から、雪菜の足跡は、まるで淡雪のように、そっと消え去った。
誰も、彼女の行方を知らない。
誰も、彼女が今、どこで、どうしているのかを知らない。
彼女の人生から、片桐雪菜という存在は、まるで最初からいなかったかのように、きれいに消え去ったのだ。
春が過ぎ、夏が訪れた。
片桐家では、雪菜の行方不明事件は、家族にとっての深い傷となり、口に出すことさえタブーとされていた。
志穂は、悠真との婚約を解消し、傷ついた心を癒すかのように、仕事に没頭していた。
悠真は、志穂との関係を清算した後も、雪菜の行方を水面下で探し続けていたが、一向に手掛かりはつかめない。
彼の心には、雪菜への深い後悔と、そして、彼女を救えなかった無力感が、重くのしかかっていた。
雪菜は、新しい街で、新たな名前で生きていた。
誰にも過去を語らず、誰にも心を許さず。
彼女の心には、故郷への罪悪感と、悠真への叶わぬ恋、そして、すべてを失った深い悲しみが、淡雪のように降り積もっていた。
彼女の足跡は、完全に消え去った。
しかし、彼女の心の中に秘められた想いは、決して消えることなく、淡雪のように降り積もり続ける。
淡雪色の初恋は、美しい結末を迎えることなく、それぞれの心に深い傷跡を残し、物語は、予期せぬ結末へと向かおうとしていた。
その日の夜、雪菜は誰にも告げることなく、片桐家を出て行った。
大きなトランクも持たず、ただ、小さなリュックサック一つ。
部屋に残された、遥斗からもらった雪の結晶のネックレスは、引き出しの奥深くにしまわれていた。
行き先など、決めていなかった。ただ、この場所から、この苦しみから、逃げ出したかったのだ。
外は、冷たい雨が降っていた。
傘もささずに、雪菜は雨の中を歩き続けた。
頬を伝う雨粒は、彼女の涙と混じり合い、どこまでも冷たかった。
「お姉様…ごめんなさい…」
声にならない謝罪が、雨音にかき消されていく。
翌朝、雪菜の部屋が空っぽになっていることに気づいた両親は、激しく動揺した。
「雪菜が…どこにもいない!」
母の悲鳴が、広い洋館に響き渡る。
父は、すぐに知り合いの警察や探偵に連絡を取ったが、雪菜の行方は、全くつかめなかった。
悠真もまた、雪菜がいなくなったことを知ると、顔色を変えた。
彼の心には、志穂への罪悪感と、雪菜への愛情、そして、彼女を失ってしまったことへの深い後悔が渦巻いていた。
「私が…私が彼女を追い詰めてしまった…」
悠真は、自らを責めるしかなかった。
志穂は、雪菜がいなくなったことを知ると、一瞬、驚きの表情を見せたが、すぐにその顔は、冷たい怒りに変わった。
「自業自得よ。私を裏切った罰だわ」
そう言い放つ志穂の言葉には、妹への深い傷つきと、そして、怒りを通り越した冷酷さが滲み出ていた。しかし、その瞳の奥には、どこか寂しさのようなものも見て取れた。
雪菜は、遠く離れた街で、ひっそりと生活を始めていた。
これまでの豪華な暮らしとは無縁の、小さなアパートの一室。
名前も変え、過去を全て捨て去るかのように、彼女は生きていた。
昼間は、カフェのアルバイトをして、わずかな生活費を稼ぐ。
夜は、一人、窓の外を眺めながら、故郷の家族や、悠真のことを思い出す。
あの雨の夜から、雪菜の足跡は、まるで淡雪のように、そっと消え去った。
誰も、彼女の行方を知らない。
誰も、彼女が今、どこで、どうしているのかを知らない。
彼女の人生から、片桐雪菜という存在は、まるで最初からいなかったかのように、きれいに消え去ったのだ。
春が過ぎ、夏が訪れた。
片桐家では、雪菜の行方不明事件は、家族にとっての深い傷となり、口に出すことさえタブーとされていた。
志穂は、悠真との婚約を解消し、傷ついた心を癒すかのように、仕事に没頭していた。
悠真は、志穂との関係を清算した後も、雪菜の行方を水面下で探し続けていたが、一向に手掛かりはつかめない。
彼の心には、雪菜への深い後悔と、そして、彼女を救えなかった無力感が、重くのしかかっていた。
雪菜は、新しい街で、新たな名前で生きていた。
誰にも過去を語らず、誰にも心を許さず。
彼女の心には、故郷への罪悪感と、悠真への叶わぬ恋、そして、すべてを失った深い悲しみが、淡雪のように降り積もっていた。
彼女の足跡は、完全に消え去った。
しかし、彼女の心の中に秘められた想いは、決して消えることなく、淡雪のように降り積もり続ける。
淡雪色の初恋は、美しい結末を迎えることなく、それぞれの心に深い傷跡を残し、物語は、予期せぬ結末へと向かおうとしていた。

