昼下がりのリビング。
窓から差し込む陽だまりが柔らかく床を照らし、
その光の中で、
由奈は洗濯物を畳んでいた。
静かで、
どこにでもあるような日常のひとコマ。
けれど由奈の胸は、
以前とはまるで違う安らぎで満たされていた。
(……こうして過ごす時間が、
こんなに幸せだなんて)
ふと視線を向けると、
キッチンでコーヒーを淹れている隼人の姿が見えた。
背の高い身体。
静かな仕草。
その輪郭すべてが、
“帰る場所”だとわかる人。
隼人がカップを二つ持って近づいてくる。
「疲れてないか?」
「大丈夫です。
隼人さんの淹れたコーヒーの匂いがして……
なんだか落ち着きました」
隼人はカップをテーブルに置き、
少し照れくさそうに笑う。
「そんなことで落ち着くなら、
毎日淹れてやるよ」
由奈は思わず微笑んだ。
「……毎日?」
「当たり前だろ。
夫婦なんだから」
隼人の言葉はいつも通り淡々としているのに、
ちゃんと甘い。
二人並んでソファに座り、
しばしコーヒーを飲む静かな時間が続いた。
街のざわめきも、
職場の噂も、
過去の影も、
いまは遠く感じる。
由奈はふと、
隼人の横顔を見上げた。
「隼人さん」
「ん?」
「これから……
平穏な日々が続くといいですね」
隼人はカップを持つ手を止め、
由奈の手をそっと指先で触れた。
「続くよ。
俺が続かせる」
由奈の胸がふわりと温かくなる。
「……そういうところ、
安心するというか……嬉しいです」
隼人は彼女の言葉に口元を緩める。
「それなら、もっと言っておくか」
「え……?」
隼人は由奈の手を包み込み、
少し身を寄せた。
「未来のことは……
全部、由奈と考えるつもりだ。
仕事だって、家のことだって……
どんな小さなことでも」
由奈の目が大きく見開く。
「隼人さん……
そんなふうに言ってくれるなんて……」
「俺も変わったんだよ。
お前が思ってる以上に」
その言い方が少し照れていて、
由奈の胸がきゅっとなる。
「わたしも……
強くなりたいです。
隼人さんに守られてばかりじゃなくて……
ちゃんと支えられる奥さんでいたい」
隼人は目を細め、
優しく頭を撫でた。
「十分、支えてくれてるよ。
気づいてないだけで」
「わたし……ですか?」
「由奈が笑ってくれるだけで、
俺は救われる」
その言葉は甘さよりも、
深い誠実さで満ちていた。
由奈は胸にこみ上げる想いを抑えられず、
そっと隼人の肩に寄りかかった。
「……これからも、
隼人さんの隣で生きたいです」
「もちろん」
隼人はゆっくりと由奈を抱き寄せる。
「俺の未来は、最初からそのつもりだ」
由奈は瞳を閉じた。
隼人の体温、
胸の鼓動、
コーヒーの香り。
すべてが、
未来へ向かう合図のように優しかった。
外の世界がどう変わっても——
二人でいれば大丈夫。
未来はきっと、
今日よりも明日が温かくなる。
由奈は静かに微笑み、
隼人の胸に身を預けた。
ふたりの新しい日々は、
静かに、確実に始まっていった。
窓から差し込む陽だまりが柔らかく床を照らし、
その光の中で、
由奈は洗濯物を畳んでいた。
静かで、
どこにでもあるような日常のひとコマ。
けれど由奈の胸は、
以前とはまるで違う安らぎで満たされていた。
(……こうして過ごす時間が、
こんなに幸せだなんて)
ふと視線を向けると、
キッチンでコーヒーを淹れている隼人の姿が見えた。
背の高い身体。
静かな仕草。
その輪郭すべてが、
“帰る場所”だとわかる人。
隼人がカップを二つ持って近づいてくる。
「疲れてないか?」
「大丈夫です。
隼人さんの淹れたコーヒーの匂いがして……
なんだか落ち着きました」
隼人はカップをテーブルに置き、
少し照れくさそうに笑う。
「そんなことで落ち着くなら、
毎日淹れてやるよ」
由奈は思わず微笑んだ。
「……毎日?」
「当たり前だろ。
夫婦なんだから」
隼人の言葉はいつも通り淡々としているのに、
ちゃんと甘い。
二人並んでソファに座り、
しばしコーヒーを飲む静かな時間が続いた。
街のざわめきも、
職場の噂も、
過去の影も、
いまは遠く感じる。
由奈はふと、
隼人の横顔を見上げた。
「隼人さん」
「ん?」
「これから……
平穏な日々が続くといいですね」
隼人はカップを持つ手を止め、
由奈の手をそっと指先で触れた。
「続くよ。
俺が続かせる」
由奈の胸がふわりと温かくなる。
「……そういうところ、
安心するというか……嬉しいです」
隼人は彼女の言葉に口元を緩める。
「それなら、もっと言っておくか」
「え……?」
隼人は由奈の手を包み込み、
少し身を寄せた。
「未来のことは……
全部、由奈と考えるつもりだ。
仕事だって、家のことだって……
どんな小さなことでも」
由奈の目が大きく見開く。
「隼人さん……
そんなふうに言ってくれるなんて……」
「俺も変わったんだよ。
お前が思ってる以上に」
その言い方が少し照れていて、
由奈の胸がきゅっとなる。
「わたしも……
強くなりたいです。
隼人さんに守られてばかりじゃなくて……
ちゃんと支えられる奥さんでいたい」
隼人は目を細め、
優しく頭を撫でた。
「十分、支えてくれてるよ。
気づいてないだけで」
「わたし……ですか?」
「由奈が笑ってくれるだけで、
俺は救われる」
その言葉は甘さよりも、
深い誠実さで満ちていた。
由奈は胸にこみ上げる想いを抑えられず、
そっと隼人の肩に寄りかかった。
「……これからも、
隼人さんの隣で生きたいです」
「もちろん」
隼人はゆっくりと由奈を抱き寄せる。
「俺の未来は、最初からそのつもりだ」
由奈は瞳を閉じた。
隼人の体温、
胸の鼓動、
コーヒーの香り。
すべてが、
未来へ向かう合図のように優しかった。
外の世界がどう変わっても——
二人でいれば大丈夫。
未来はきっと、
今日よりも明日が温かくなる。
由奈は静かに微笑み、
隼人の胸に身を預けた。
ふたりの新しい日々は、
静かに、確実に始まっていった。

