隼人は手紙を握りしめたまま、
由奈をソファに座らせ、
落ち着かせようとしていた。
「もう……一人にしない。
俺が全部、確かめる」
由奈は涙をぬぐいながら、小さく頷いた。
(隼人さん……信じていいの?
でも……私は……)
不安はまだ完全には消えない。
そのとき――。
ピコン。
由奈のスマホが震えた。
由奈は胸の奥がざわりとする。
恐る恐る画面を開く。
送り主:不明
件名:なし
(……また……)
嫌な予感が指先を冷やす。
メッセージを開いた瞬間――
由奈の呼吸が止まった。
そこには、写真が添付されていた。
画面いっぱいに映ったのは、
明らかに“隼人と麗華”の姿。
隼人の肩に、
麗華が手を添えて微笑んでいる。
角度のせいで――
まるで抱き合っているようにさえ見える。
由奈の手が震えた。
「えっ……これ……」
隼人も覗き込み、
眉を深くひそめる。
「……これは……」
瞬間、怒りで息が荒くなる。
(こんな……
俺はこんなことしてない!!!)
写真は完全に“仕組まれた角度”だった。
隼人が階段で麗華に呼び止められたときのもの。
その場に街角カメラのような位置から
誰かが撮影したのだろう。
麗華の指が隼人の肩に軽く触れただけ。
だが角度と距離を切り取れば――
濃密な距離感に見える。
由奈の視界から色が消える。
(うそ……
隼人さん……
麗華さんと……)
頭の中が真っ白になり、
心臓が痛みで痙攣する。
隼人はすぐに由奈の手を握る。
「由奈、違う。これは……」
けれど由奈の嗚咽が震える。
「だって……
ほんとに……仲が……良さそうで……」
隼人は強く首を振る。
「違う!!!
これは……絶対に誰かが撮ったんだ。
俺たちの関係を壊すために」
(“誰か”……
そんなの……ひとりしかいない)
隼人は気づいた。
由奈も気づいた。
そして――
その“送り主”から、
追い打ちのメッセージが届く。
⸻
《これが現実よ。
逃げないで》
⸻
由奈の全身が凍りついた。
この文体。
この“見下ろすような言葉”。
――麗華。
隼人も同じ瞬間に確信した。
由奈が震える声で呟く。
「どうして……
どうして……こんなこと……」
隼人は由奈の手を包み込むように握る。
「由奈……聞いてくれ。
俺は……一度も……麗華に触れたことなんてない」
「でも……写真で……」
「写真なんかより、
俺が由奈をどう思ってるか……
それで判断してほしい」
隼人の声は震えていたが、
その瞳はまっすぐだった。
「俺が好きなのは……
由奈だけだ」
その言葉に、
由奈の目が潤む。
でも――
胸の痛みは消えない。
(信じたい……
でも……麗華さんが“嘘を混ぜた善意”を
何度も言ってきた……)
隼人は立ち上がる。
「……麗華に会ってくる」
由奈の目が大きく開かれた。
「ま、待って……!」
「大丈夫だ。
俺は怒鳴ったりしない。
ただ……確認するだけだ」
(嘘だ。
怒らないわけがない)
隼人の肩から、
怒りの気配が溢れている。
握った拳が震えている。
「由奈をこんな目に遭わせたやつを……
見逃せるわけがない」
隼人の声は低く、
静かな怒りに満ちていた。
由奈は不安そうに隼人の袖を掴む。
「隼人さん……
私のために、そんな……」
隼人は由奈の手を握り返す。
「由奈のために決まってるだろ」
そのやさしさに、
由奈の胸が痛くてたまらなくなる。
隼人は玄関に向かい、
靴を履きながら言った。
「すぐ戻る。
絶対に……一人にしないから」
その背中は、
怒りと決意で震えていた。
扉が閉まる直前、
隼人は振り返って言った。
「――俺の由奈を、
誰にも奪わせない」
扉が閉じる。
カチリ。
隼人が向かう先。
それは――
麗華の元。
嵐の前の静けさは、
ここで終わりを迎えた。
由奈をソファに座らせ、
落ち着かせようとしていた。
「もう……一人にしない。
俺が全部、確かめる」
由奈は涙をぬぐいながら、小さく頷いた。
(隼人さん……信じていいの?
でも……私は……)
不安はまだ完全には消えない。
そのとき――。
ピコン。
由奈のスマホが震えた。
由奈は胸の奥がざわりとする。
恐る恐る画面を開く。
送り主:不明
件名:なし
(……また……)
嫌な予感が指先を冷やす。
メッセージを開いた瞬間――
由奈の呼吸が止まった。
そこには、写真が添付されていた。
画面いっぱいに映ったのは、
明らかに“隼人と麗華”の姿。
隼人の肩に、
麗華が手を添えて微笑んでいる。
角度のせいで――
まるで抱き合っているようにさえ見える。
由奈の手が震えた。
「えっ……これ……」
隼人も覗き込み、
眉を深くひそめる。
「……これは……」
瞬間、怒りで息が荒くなる。
(こんな……
俺はこんなことしてない!!!)
写真は完全に“仕組まれた角度”だった。
隼人が階段で麗華に呼び止められたときのもの。
その場に街角カメラのような位置から
誰かが撮影したのだろう。
麗華の指が隼人の肩に軽く触れただけ。
だが角度と距離を切り取れば――
濃密な距離感に見える。
由奈の視界から色が消える。
(うそ……
隼人さん……
麗華さんと……)
頭の中が真っ白になり、
心臓が痛みで痙攣する。
隼人はすぐに由奈の手を握る。
「由奈、違う。これは……」
けれど由奈の嗚咽が震える。
「だって……
ほんとに……仲が……良さそうで……」
隼人は強く首を振る。
「違う!!!
これは……絶対に誰かが撮ったんだ。
俺たちの関係を壊すために」
(“誰か”……
そんなの……ひとりしかいない)
隼人は気づいた。
由奈も気づいた。
そして――
その“送り主”から、
追い打ちのメッセージが届く。
⸻
《これが現実よ。
逃げないで》
⸻
由奈の全身が凍りついた。
この文体。
この“見下ろすような言葉”。
――麗華。
隼人も同じ瞬間に確信した。
由奈が震える声で呟く。
「どうして……
どうして……こんなこと……」
隼人は由奈の手を包み込むように握る。
「由奈……聞いてくれ。
俺は……一度も……麗華に触れたことなんてない」
「でも……写真で……」
「写真なんかより、
俺が由奈をどう思ってるか……
それで判断してほしい」
隼人の声は震えていたが、
その瞳はまっすぐだった。
「俺が好きなのは……
由奈だけだ」
その言葉に、
由奈の目が潤む。
でも――
胸の痛みは消えない。
(信じたい……
でも……麗華さんが“嘘を混ぜた善意”を
何度も言ってきた……)
隼人は立ち上がる。
「……麗華に会ってくる」
由奈の目が大きく開かれた。
「ま、待って……!」
「大丈夫だ。
俺は怒鳴ったりしない。
ただ……確認するだけだ」
(嘘だ。
怒らないわけがない)
隼人の肩から、
怒りの気配が溢れている。
握った拳が震えている。
「由奈をこんな目に遭わせたやつを……
見逃せるわけがない」
隼人の声は低く、
静かな怒りに満ちていた。
由奈は不安そうに隼人の袖を掴む。
「隼人さん……
私のために、そんな……」
隼人は由奈の手を握り返す。
「由奈のために決まってるだろ」
そのやさしさに、
由奈の胸が痛くてたまらなくなる。
隼人は玄関に向かい、
靴を履きながら言った。
「すぐ戻る。
絶対に……一人にしないから」
その背中は、
怒りと決意で震えていた。
扉が閉まる直前、
隼人は振り返って言った。
「――俺の由奈を、
誰にも奪わせない」
扉が閉じる。
カチリ。
隼人が向かう先。
それは――
麗華の元。
嵐の前の静けさは、
ここで終わりを迎えた。

